【インタビュー 】「人生やったもん勝ち!」女性ひとりで家を建てた本山早穂さんの、自分でつくる暮らし|日本でも始まっている小さな住みかた。アイム・ミニマリスト
多拠点居住、ミニマルライフやコミュニティビルドなど、未来住まい方会議でご紹介している暮らし方。これらの暮らしはまだまだ実践者も少なく、始めてみたいけど少し不安という方も多いのではないでしょうか?この連載では、日本国内の新しい暮らしの実践者にお話をお聞きして、日本ではじまっている「新しい暮らし方」を始めるヒントをお伝えしたいと思います。
※この記事は、2015年11月27日(金)に三栄書房から発行される「アイム・ミニマリスト」から内容を抜粋しています。
連載第2回目は、佐賀県唐津市に暮らし、家を一棟建ててしまった女性、本山早穂さんの暮らしをご紹介します。
大工の職業訓練校に通い、工務店や設計事務所で働いた経験をもとに自分の家を作った本山さんは、現在2階建ての約120㎡の家の建設に取りかかっています。
これ、私が建てました。20㎡の手作りの家
本山さんが暮らすのは、約20㎡の手作りの家。古材を利用し、プレハブハウスに増設する形で建てられた家は、でこぼこした白い土壁を持ち、屋根には草花が生えています。
家には上下水道が通っていないので、生活に使う水は敷地内に掘ってもらった井戸からポンプでくみ上げ、トイレは木屑を使ったコンポストトイレを設置。お風呂は太陽熱を利用して水を温め、温水を供給する仕組みです。これらの仕組みも全て本山さんの手作り。電気は引いていますが家電をほとんど使わないので、光熱費は電気・水道を合わせて月に2000円代で収まるようです。
本山さんの家の隣には基礎工事を終え、梁が渡された約120㎡の建物がありました。これは本山さんの第2の家です。工務店に勤める本山さんは仕事をしながら2〜3年をかけて、外壁や内装工事を全て自分の手で行う予定だと言います。
自分の暮らしに必要なものを自給して生活している本山さんはどのように今の暮らしを始めたのでしょうか?
本山 早穂さん(以下、本山)「わたしには、やりたいことはたくさんあったんですけど、なりたいものがなかったんです。高校は進学校でほとんどの人が大学に進学していました。わたしは漠然と大学に進むということができなくて。高校を卒業後、どんな風に生きようかと考えた時に。“わたしはわたしの人生を謳歌したい。そして、楽しかった。良い人生だった。産んでくれてありがとう。と母に伝えたい。と思ったんです。19歳の頃の幼い考えですけど、それが一番の親孝行だと、そのときは考えました。」
本山さんは高校を卒業後、インドの孤児院にボランティアに向かい、群馬や小笠原諸島、北海道の標津など、全国各地の住み込みバイトをしながら全国を転々とする日々を送ります。ヒッチハイクをしたり、時に野宿をしながらバイクで旅をすることもありました。
その中で、本山さんは大工の職業訓練校に通って建築の技術を学んだり、農家に住み込みで働いて農業を学び、自分の暮らしを自分で作る技術を身につけていきます。福岡市で4反の畑を借りて自給自足の生活を始め、小さな土地で作物を作る農家としての生活も送っていたそうです。
本山「心に素直に、やりたいからやる。ということを大事にしているんですよ。農業も家を作ることもその延長線上にあることなんです。経験上、やりたいことを無視した時って失敗することが多くて。だから、心や感覚を研ぎすまして、自分ときちんと向き合っています。
将来への不安は無いこともないです。多くの人はその不安に対して生命保険に加入し、毎月お金を払い続けますよね。作物の育て方や、家を建てる技術を学ぶことなど、生きていくための智慧を身に付けることが、私なりの将来への不安に備える方法なのかもしれません。」
人生は「やったもん勝ち」
色んな場所に行ってみたい、仕事に振り回されず生きたい。そんな風に思っている人は多いと思います。どうすれば自分の望む生き方ができるのでしょうか?その質問に答えとして、本山さんはシンプルにこう言います。「やったもん勝ちです。」と。
本山さんも、レールの外側に飛び込むことは怖かったそうです。でも、自分の心を無視して進んだ時には、失敗することが多かったと言います。
「家は職人さんに建ててもらうもの」「学校を出たら就職するもの」世間ではそれが普通のことだと思われていますが、果たしてそこにしか道はないのでしょうか?本山さんの暮らしは、道の外にある新しい暮らしを考えるきっかけを与えてくれました。
続きはYADOKARI 編集の本「アイム・ミニマリスト」で
本山さんの、より詳しい暮らし方は2015年11月27日(金)に三栄書房から発行される「アイム・ミニマリスト」の中で紹介しています。
今回ご紹介した本山さんは、この書籍の中で取材させていただいた方のひとり。「アイム・ミニマリスト」は、YADOKARI が日本各地を取材し、編集を務めた書籍で、greenz.jp編集長・鈴木菜央さんのロングインタビューや、YADOKARI 発のタイニーハウスINSPIRATIONができるまで、など日本各地で始まっている小さな暮らし方をご紹介しています。
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